フリーミアム経済の無料と有料の壁
多くの製品・サービスが無料で提供されることは、今では当たり前のように思われています。特に、アプリ市場においては基本の利用は無料にしつつ、追加的なサービスを利用する場合には課金が必要になる形態は多くのアプリで採用されています。
無料で提供することは、マーケティングとしてはどのような効果が期待できるでしょうか。無料であれば、使うことに対するコストはゼロです。市場投入の段階では、製品・サービスは使用してもらわなければその価値は分かりづらいわけですが無料の期間を設けることで利用を促す効果はありそうです。
伝統的な経済学のモデルでは、需要供給曲線はカーブを描くことが知られています。価格を高くすれば、需要は少なくなり、価格が低ければ、需要は多くなると予測できるわけです。では、価格がゼロになった時もそのカーブの延長線上で需要が増えると考えてもよいだろうかと疑問が浮かびます。
この点に関しては、「フリー」クリス・アンダーソン著 の中で示されている論点が参考になります。
「価格がゼロにおける需要は、価格が非常に低いときの需要の数倍以上になります。ゼロになったとたんに、需要は非線形的な伸びを示すのです」p.34
このように考えると、ものがタダで手に入るとなればその需要は非線形的な伸びで需要が増えると予想できます。ですが、実際にはそこでお金を支払う人が本当にいるのかどうかが問題となりそうです。さらに、同著には次のような論点も示されています。
「つまり、無料はひとつの市場を形成し、いくらであろうと有料になると別の市場になるのだ。これがすばらしい市場とダメな市場の違いになる」p.85
すなわち、無料の市場と、有料の市場は別々のものであると考えておく必要があるということです。ビジネスモデルを立案する上では、無料から有料市場への移行というのは魅力的なものに考えられますが、その境界線には非常に大きな壁が存在すると認識しておかなければならないということだと思います。
消費者がお金を初めて支払うことが、もっとも難しいのであり、それ以降は売れるということが分かっているわけですから努力すれば売れるということなのでしょう。
これから起業をすることを考える時は、この考え方をもとに戦略を立てていきたいなと思いました。また、顧客にお金を払ってもらうことと無料で提供することはまったく違うことなのだということ、さらに言えば1番初めにお金を払ってくれる顧客がいるかどうかがビジネスを始める上での当初の課題なのだと理解できました。
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- 作者: クリス・アンダーソン,小林弘人,高橋則明
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