新潟スタートアップ勉強会

当ブログは新潟スタートアップ勉強会の様子や、起業に関するコラムなどを定期的に掲載いたします。

仮説思考について

 仮説思考を鍛えると、世の中をもっと深く理解できるようになる。なぜなら、思考のスタート地点を「真実」ではなく、「仮説」であるということから始めると、私たちはあらゆる可能性を受け入れる姿勢を身につけることができるからである。


 真実だという思い込みからスタートした思考は時々間違うことがある。私たちが考えている真実というのは、その時点において正しいと言えるだけである。その正しさは、他の方法で上書きされることが往々にして起こり得ることは自覚しておくべきだと思う。


 例えば、つい最近まで、機械がトップクラスの囲碁プレイヤーに勝つことは、ほぼ不可能とされていた。チェスや将棋と比べると、その指し手の可能性があまりにも巨大な数になるのである。しかし、アルファ碁は、2007年から2011年までレーティングの世界ランキング1位だったイ・セドル氏に対して圧勝した。もちろん、事前の予想ではトップクラスの囲碁プレイヤーでさえ、イ・セドル氏が負けることを予想していなかったのだ。それが、結果として最初に3連敗し、その後イ・セドル氏の要望もあり残りの2戦を戦い、1勝1敗。結果としては、5戦のうち勝てたのは一度だけであり、アルファ碁の圧倒的な力の前には、なすすべもなく完敗している。


 このアルファ碁が登場することで、これまでの「真実」として存在した、コンピュータに囲碁の局面を評価させることが不可能であるというテーゼをひっくり返し、ディープラーニングの技術とモンテカルロ法を組み合わせることによってトップ棋士に勝てるという新しい「真実」が生まれた。 それまでの人間の常識に囚われないような指し回しが生まれ、囲碁の世界観をアップデートしたと言ってもよいかもしれない。


 このような例からもわかるように、社会において「真実」として認識されていることでも、実は単なる「仮説」でしかなかったという事象は案外多いものである。だとするのであれば、世間がいう「真実」を仮説思考で捉えることで、新たなビジネスチャンスに巡り会えるのではないだろうか。


 一例として、日本のスマートフォンユーザーの90%以上がLINEを使用しているという。しかし、このシェアは10年後にも同じだと言えるだろうか?LINEを使うのは「当たり前」という感覚は、実は私が大学生だったころにmixiをやるのが「当たり前」という感覚に似ているような気がしている。既にmixiFacebookに大きくシェアを奪われているのはご存知の通りだが、その当時はFacebookを使っているのは外国人の友達を作ることを目的とした限定された用途しかなかったように思う。それが、10年も立たないうちに形勢は逆転してしまっている。このようなことが、LINEにも起こり得る可能性はゼロではないだろう。それならば、常にいくつかの仮説を立てながら、それらの可能性を検討しつつ、将来を予測するようなプロセスを日頃から行なうことは、昨今の変化の激しいビジネス環境を把握する上でも有意義である。


 

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