新潟スタートアップ勉強会

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農業の自動化について思うこと

 かつて農業の分野というのは、日本国民の多くが従事していた。1950年代には就業人口の約45%程度が農業で働いていたとされる。しかし、その後製造業やサービス業へ就業人口の移動が始まり、2000年代には農業就業人口の割合は5%程度である。


 農業への就業が減っている主な要因としては、所得が少ないこと、技術の習得が難しいこと、農地不足、設備投資資金が必要なことなどが考えられる。かつて農家をやっていた人に話を聞くと朝から晩まで働いて、土日も休みがなかったなどと苦労された話をされることが多い。所得が少ない割に、労働量が多いため他産業に対して魅力が乏しいように思えてしまうのも無理はない。


 生産する商品に何らかの魅力があるか、農業という職業への憧れや既存設備を承継できるなど理由がなければなかなか参入することは難しいのではないだろうか。


 最近では、ドローンによる農薬散布の自動化や、GPSを利用した自動運転トラクタや田植機などが既に実用化されている。これらの技術を使えば、長年培ってきた技術を一から学ばなくともそのほとんどがシステム化され、わずかな操作によって自動で生産を行うことが可能となる。


 しかしながら、結局のところこれらの自動運転設備はかなり大きな設備投資が必要となる。それだけの投資負担に耐えられる中小事業所は限られるのではないかと思われる。また、イニシャルコストが高ければ、ある程度の生産回数をこなさないと損益分岐点にまで到達しないだろう。設備コストが下がり、人がやるよりも機械を数回使うだけで元が取れるようにならなければ、なかなか農業分野における自動運転技術の採用は進まない気がします。


 ただし、一つだけ言えることは、設備コストは年々下がるはずでどこかの時点で一般的に普及すればそこそこの生産効率アップに寄与することは確かです。問題は、それが5年後なのかそれとも10年後なのかが分からないことです。


 それよりもむしろ問題とすべきなのは、生産性を高めると同時に商品にどのような付加価値をつけるかという意識を農業従事者が一丸となって持つことだと考えます。技術的な要因も大切ですが、結局のところ人が作物を育てていることに変わりはありません。完全に自動化される生産方式は効率の面では確かに優れていますが、私たちは生産が効率化された低価格のとうもろこしが好きなのと同じぐらい、顔が見える生産者が作った大事に育てられたトマトもまた同じぐらい好きでありえるのです。



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